油温度180℃と水温25℃との温度差155℃が上下隣り合わせの位置にあります。
これが頭の中で混乱を招きます。温度は平均化されるもの、との従来の経験値から抜け出せないでいます。
説明がなければ皆さん全員の頭の中には金魚の煮付けが浮かぶのではないでしょうか。

 お風呂の沸き加減で、表面のお湯と、底の冷たい水に驚かされた経験が誰にでもあります。上下のあまりに大きい温度差が手の感触に、驚かされるのです。
でもかき混ぜる事により温度は平均化される事を私たちは知っています。(今の若者は蛇口をひねればお湯がでますので理解できないかも知れません、 時代の移り替わりを感じます、面白くない話です。)ヤカンでお湯を沸かすにしろ、お風呂を沸かすにしろ、従来熱源は底から供給されます。底面で熱せられた水は比重が軽くなり上昇します。結果として水の対流が生まれ表面は高温度で推移します。すみません、小学生の理科の時間のようになってしまいましたね。

物語は続きます。
その時の上部に位置する、油の状況です。
油はその粘性により熱対流は起きにくく、温度による物質の移動はほとんどありません。180℃程度の温度では何事もなかったように静かにしています。時折、気泡を伴い表面が荒れる事がありますが、このへんは気ままにやっているようです。
全体の温度上昇はヒーター部分を熱源として油から油へ伝わっていく熱伝導によります。ですから急激な温度上昇はありません。穏やかに、緩慢に、確実に上昇していきます。

 ここで全体を見ます。お互いがそれぞれの温度状態で上下に位置し、面接触をしています。私たちの知りたいテーマを再確認します。
 上に高温度の油をいだいている水の温度が上昇しない理由です。現在の状況では、高温度の油で水面から熱がかかるので熱対流は起きません。この熱対流が起きない事実は重大な意味を持ちます。水の温度上昇の大半の機能を占めている熱対流そのものが消滅してしまっているのです。イメージとして想い浮かべて欲しいのですが水の表面にバーナの炎を吹き付けてお風呂を焚こうとしています。長時間続けてもお風呂は沸きません。理屈抜きで経験値として理解できます。だいたいから水の表面から熱を加えた経験がありません。その他に水の温度の上昇には熱伝導があります。
物質から物質へ熱が伝わっていきます。
接触面の油からの熱伝導しかありません。
これは機能としては小さなものです。
ここにさらなる不思議な現象が起きます。
溶け合う事のない水と油の神話が崩壊します。
水と油と素材のある成分が融和し新しい物質が生まれます。遊離脂肪酸といいますが、比重が油と水の中間です。
つまり油より重く、水より軽いのです。
当然水と油の境に位置し、温度の伝わりを阻害します。
境目に現れる膜、遊離脂肪酸は不思議な光景です。
スケルトンフライヤーでは見事に目視されます。
以上です。
不思議な現象がお分かり戴けたでしょうか?
でもそんな事はどうでもよいことです。
美味しいことがすべての答えですから、